『少女地獄』
(
夢野久作
角川文庫)を読んだ。引き込まれた。「何んでもない」、「殺人リレー」、「火星の女」の書簡体小説三篇から成る。どれも嘘がテーマになっている。悪い男も出てくるが、どちらかと云うと滑稽で、怖ろしいのは女の方だ。
嘘のテーマが一番色濃く出ている「何んでもない」は身につまされる。女の云うことはコロコロ変わる、女の云うことは信用できないと解っていたはずなのに、継続的にオベッカを使われるとこちらも悪い気はしなくなってきて、演技なのか天然なのか判らないけど楽しいからいいやと思えてきた。だが、何が本当で何が嘘か判らない状態が続くのは耐え難い苦痛だった。完全に拒絶された方が、よほど楽だと思う。本当と解釈しても嘘と解釈しても問題のある返信が来たとき、張りつめていたものがピキーンと切れた。結局、全て嘘だと解釈すると、筋が通る。あれは少女地獄だったのか。