高円寺住人の映画、古本、宝塚、古道具、喫茶などについての雑記。
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夜の国の住人、ブラッケン・ダーキンと申します。


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2bca346a.jpg 図書館でぱらぱら見ていた本の白黒のページに載っていた「食卓に座る千穂」(1980)が気になり、丁度いいことに図書館に大型の画集『画家 牧野邦夫 1925-1986』があったので借りた。

 自画像を見ると、かなりのナルシストだと感じる。単に美しく描いているという意味ではなく、目つきや眉毛の角度がナルシストだ。その美意識が自画像以外にもある。異形がごちゃごちゃと描き込まれていてイッちゃっている絵が多いが、単に奇抜なことをやっているのではなく、重厚で惹きつけられる。

Web GALLERY KAZE
orpheus.gif オルセー美術館展でギュスターヴ・モローの「オルペウスの首を抱くトラキアの娘」(1865)の右下に亀が二匹いるのに気付いたが、意味が分からずそのままになっていた。今日、『イメージを読む』若桑みどり ちくま学芸文庫)を読んでいて、お、亀じゃないかと思った。なるほど粘液質ね、確かに「怠惰で不活発」かもなと、そのときは納得した。

 帰ってから開いてみた別の本、『シンボル・イメージ小事典』(J・ガライ 教養文庫)にも亀は載っていた。こちらの方が近そうだ。

それから女に二匹の亀をもってこさせよ……
一匹は贖罪の献げ物として、もう一匹を焼き尽くすべく献げ物として主にささげる
そして、祭司は女のために贖いをし
女の罪は赦される
(旧約聖書「レビ記」)

 愛妻を失ったオルフェウスはある種の女嫌いになっていた。それを侮辱と感じたバッコス(ディオニュソス)神の荒々しい巫女(バッカント)たちは怒り狂って、彼を八つ裂きにした。絵は一人の少女が川を流れてきたオルフェウスの頭部と竪琴を拾いあげ、見つめているところだ。それならこの少女は別に悪くない。だが、ここにサロメのイメージが重ねられている。

参考文献
『エロスの美術と物語』利倉隆 美術出版社)
2b6d689e.jpgtoulouse_lautrec_033_loie_fuller_alle_folies_bergeres.jpg ロイ・フラーはアメリカでの踊子生活に見切りをつけてパリに進出。蝶、水、風などの自然にヒントを得た振付けを創作。また、多彩な電気照明を駆使して幻想的な効果を出す、新機軸を打ち出した。1900年のパリ万博ではサラ・ベルナールに次ぐ人気を集めた。(参照『ベル・エポックの女たち』平凡社)

 上はロートレックの絵だが他の画家も描いていて、立体物も作られたロイ・フラーの映像が残っているだけでもすごいのに、手彩色で色が付いていて、色が変化する。グラデーションが描かれている。
 ギュスターヴ・モロー も映画も好きなのだが、こんなつながりがあるとは知らなかった。すごい、びっくり。以下は『フランス映画史の誘惑』中条省平  集英社新書)より引用。

 ジョルジュ・メリエス は、1861年にパリの靴職人の家に生まれました。
 しかし、家業の靴屋よりも絵画のほうに関心が強く、美術学校に入って勉強したいという希望をもっていました。父親は息子が美術学校で学ぶことには反対しましたが、そのかわりに、絵画の個人レッスンを受けることを許しました。選ばれた師匠は、なんと(!)フランス象徴派を代表する画家、ギュスターヴ・モロー でした。モローのアトリエでメリエスは、印象派の画家ドガや、『さかしま』で世紀末デカダン美学を代表することになる小説家のユイスマンスと知りあいになります。そんな事実を知ると、メリエス がのちに作りあげる空想的な映像世界には、モローの絵画の神話的幻想の影響が見られるようにも思われてきます。

 過去の記事「月の女神」の中央の画像が『月世界旅行』 のものだ。脚をからめたやや斜めの体勢はモロー だよ。
91c2e7aa.jpg ギュスターヴ・モロー美術館で「妖精とグリフィン」を見て、なんと美しい肌色であることよ、と思った。

 これは見たことのない絵だと思った。だが、入り口の売店で図録を見ていて思い出した。本で見たことがある。実物の印象が強烈で、初めて見る絵だと思ったのだ。妖精がかぶっている草の冠が細かく描き込まれているのは本では分からない。それからまた四階に戻り、また見た。この経験だけでもギュスターヴ・モロー美術館に行った甲斐があった。

 こんな写真ではなく思い切り接写してくればよかった。失敗した。写真を見て分かる通り、これは窓際だ。大抵の美術館は暗めだが、ここは大きな窓があって明るかった。
 『異端の肖像』澁澤龍彦  河出文庫)に革命家サン・ジュストについて書いてあり、検索していたらこのようなものを見つけた。面白い。女装させている。新撰組で同じようなことをやっている日本人もいるような気がする。

http://roza1996.artblog.fr/
 銀座にあるメゾン・デ・ミュゼ・ド・フランスに行った。「館内にインフォメーション・センター、ブティック、ギャラリーの3つの機能を持ち、日本に居ながらにしてフランスの美術館・博物館(ミュゼ・ド・フランス)の魅力に触れていただけるスペース(HPより引用)」だ。オルセー美術館展で見て気に入ったモーリス・ドニの図録が売っているというので行ってみたが、在庫がなかった。値段を聞いてみたら一万円と云われたので、どちらにせよ買わなかっただろう。インフォメーション・センターで実物を見てきた。

 ここのインフォメーション・センターは展覧会カタログや画集などがたくさんあって、無料で見られる。フリーペーパーやパンフレットも置いてあり、行ってみてよかった。

 
lautrec_left_pic_l.jpg オルセー美術館展2010「ポスト印象派」を見てきた。印象派ってなんかボヤッとしたヘタクソな絵ばかりなんだよねーと思って見ていた。美術史的には革新的だったことは知識としては知っているが、印象としてはそんな感じだ。それが段々進んでいくとナビ派というのがあり、ちょっと暗くて装飾的でかわいい。モーリス・ドニが気に入った。

 さらに進むと今回展示されていることを全然知らなかったルドン『目を閉じて』とモロー『オルフェウス』があって、一気に気分が盛り上がった。人が多いので後ろから見ることが多かったが、ここは前の方でじっくり見てきた。モローは華麗で奇抜というだけではなく、肌色がとても美しい。

 今日行った一番の目的はトークセッションの陽月華女史を見ることだ。ショー・ビジネスつながりでムーラン・ルージュを描いたロートレックの『黒いボアの女』(上の画像)が気に入っていて、こういう力強い女性は宝塚にはたくさんいるとのことだ。

 首から肩のライン、肩の後ろ、肩から腕にかけての窪み、腕の曲線、横顔、ななめ顔など、最前列でじっくり見てきた。夏らしいワンピースで、靴がキラキラ輝いていた。前から思っていた通り、表情と身振りが面白い。どんな芸術も自然の創造物にはかなわない。
 あるいはリアル『独身者の科学』 とも云えるミュゼ・ドゥ・レロティズムに行った。「様々な時代や文化的背景を通して見た色情的な美術品の数々」(チラシより引用)が7フロアに展示されている。色々な国の原始的なオブジェには、これ本当? 作ったんじゃないの?と思えるような驚きがある。歴史の表舞台に出てこないようなものがたくさんあり、男女が並んでいる像は日本の道祖神のようで文化人類学的に興味深い。日本の春画や女性器のあるお多福などもあった。

 昔の娼館の写真、模型やヴィンテージのエロ映画があった。フランスと云えば映画を発明した国で、かつエロティシズムの国で、新しい技術が出てくるとそういう方面のものも作られるのは当然であるが、見る機会はなかなかない。昔風にパロディで作ったのかなと思ったが、体型や髪型などがどうも本当に古いもののようだった。

 最上階の展示の写真はエロというよりもむしろびっくり人間だった。

 そして、やっぱり機械好き
a8e07add.jpg 94ee8774.jpg







 既に日本語で紹介している方がいるようだが、私は先ほど立ち読みした洋雑誌でたまたま知った。スチームパンク風で、シュヴァルの理想宮のようでもある。

Kris Kuksi : Home
 ネットでいい評判を読まなければ、入場料をケチって行かなかったかもしれない。ヴァニラ画廊でやっているバイロス蔵書票展に行った。蔵書票は思っていたより大きかった。画集は持っているが、紙とインクの色は生で見た方がいい。

 「薔薇の画家」と呼ばれたそうだが、実際ほとんどの蔵書票に薔薇が描かれている。人の髪、薔薇の花や葉など、極めて精緻だ。幻想的でありながら、動物、楽器、装飾など、きちんと物質として存在している感じがある。

過去のバイロスの記事
バイロス画集
バイロス侯爵画集
3df60f5b.jpg おそらく双子だろうか。よく似ているが、猫を抱いている方は活発そうで、本を持っている方は知的な感じがする。本には犬の絵が書いてある。大雑把に云えば猫は魔性、犬は忠誠だろうか。
 
 この絵を見てとても気に入ったのだが、タイトルも画家の名前も分からなかった。画集ならすぐ分かるのだが、画集ではない本の章のトビラに使われていた。全然記述がないわけはないだろうと探したら、巻末に小さく書いてあった。「Misses May and Violet Craik」というタイトルだ。色々検索して、イギリスのWilliam Hippon Gadsby (1844-1924)の作品だと分かった。情報がほとんどない。ひっかかるのはポスターを売るサイトやイミテーションを作るサイトくらいだ。日本語で書いてあるものは見つからなかった。
f99d515a.jpg 大天使ミカエルについて調べていてたまたま見つけた画像。歴史に詳しい人ならそんなもの知ってるよと思うのかもしれないが、私は見たことがなかったのでびっくりした。詳しいことは後で調べるが、とりあえずメモ程度。ギリシアのモザイクが仏像の天に似ている。
 
Saint Demetrius of Thessaloniki
Michael of salonica
 最近、全く理解不能な絵を見たので、図像学とかその辺の本を読んだ方がいいかと思い始めた。随分前に阿佐ヶ谷の古本屋で見かけたがそのときは買わなかった『目玉の思想と美学 図像学入門』荒俣宏  集英社文庫)を今さら欲しくなって見に行ったら、前と同じ場所に埋もれていて、買った。

 寓意象徴の解読に準備すべきものは「動物寓意譚」(Bestiary)、「寓意詞画集」(Emblemata)だそうだが、こういう本の日本語訳が売っているわけではない。画像検索するとまた色々と奇妙な絵が出てくる。今、調べてみたら参考になりそうな本が高円寺図書館にあるようだ。明日行こう。 
 アンドロメダと云えば暗めで緊迫感のある、このような感じをイメージする。
gone to croatoan
Andromeda (mythology)

 ピエロ・ディ・コジモの名前をきちんと認識してはいなかったが、「シモネッタ・ヴェスプッチの肖像」は見たことがあった。首飾りに蛇が巻き付いている奇妙な肖像で、これでも充分インパクトが強い。ウィキペディアによればイタリア盛期ルネサンスの異色の画家だという。

andrmd-cosimo.jpg 「アンドロメダを救うペルセウス」はさらに普通の代物ではない。細部を見れば嘆きが描かれているのだが、何かとぼけたような明るさがある。ピューッと飛んでくるペルセウス(右上)、海獣との戦い(中央)、嘆く人々(左下)、勝利(右下)と一枚の絵で時間の経過を描いている。ペガサスもいないのに飛んでいるのがまずおかしいと思ったが、よく見ると靴に翼が付いている。ウィキの画像をクリックすると巨大な画像が出る。それを見ると、遠くに小さな人が描いてある。

 異色というのは納得だ。「アレゴリー」も強烈だ。
e09b26a0.jpg 『フローラの神殿』については検索すれば分かるので解説は省略する。背景入りの美しい植物画が載っている本だ。『アラマタ図像館〈4〉「庭園」』荒俣宏  小学館文庫)にも載っている。

"The Temple of Flora"  


 左の絵はリチャード・コズウェイ画の「地上に花を撒くフローラ」。花と豊穣と春の女神フローラは西風ゼピュロスの恋人だそうだ。このような絵が入っているあたり、ただの植物学の本ではない。
 図録「死の舞踏―中世末期から現代まで」は 古本屋や古本市で見かけて面白そうだと思ったが、高いので買っていない。安くて四千円する。検索していて、色々な画像が載っているサイトを見つけた。

Danse Macabre Images.

arnold_bocklin_1889_die_pest.jpg 特に興味を惹かれたのがこの絵だ。後から知ったがベックリンのものだった。色々不思議な絵がある。自画像を何年も前に見て衝撃的だった。この絵は"The Plague" (1898)で、解説は探してみたが見あたらない。

 


このようなものをよく思いつくなと思ったが、19世紀には翼竜のイメージはあったようだ。
duriaantiquior.jpg200812171004.jpg






 
 さきほどたまたま知ったのだが、小牧多賀子の人形が大正浪漫でかなり好みだ。個展がもうすぐとは、なんとよいタイミング。ホームページのギャラリーやブログに画像がたくさんあるが、まずブログ最新記事のモダンガールに摑まれた

2009.11.20(金) - 11.26(木)

「個展」
銀座人形館エンジェルドールズ
東京都中央区銀座7-9-16 銀座ロータリービル2階
03-5537-5534

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